銀行への決算説明や、追加融資・借換の際に求められる経営計画の資料は、ChatGPTなどのAIを「説明文の下書き役」として使えば、数日がかりだった準備を半日ほどで形にすることも十分可能です。コツは役割分担で、数字の計算や決算書づくりはAIに任せず、「数字の意味を説明する文章」と「今後の行動計画」の下書きだけを手伝ってもらいます。銀行が見ているのは、一般的に①返済原資があるか、②数字に根拠があるか、③経営者が自分の言葉で説明できるか、の3点と言われます。本記事では建設業・物流業の例で、決算書の要点整理から経営計画書の下書きまでの手順を解説します。
銀行融資の資料づくりにAIは使えるのか?
結論から言うと、使えます。ただし丸投げで資料が完成するわけではありません。AIが得意なのは、社長の頭の中にある事実を銀行に伝わる文章へ整えることで、数字そのものを扱わせるのは不向きです。
- AIに任せてよいこと…決算の増減理由の文章化、計画書の構成づくり、事業環境の説明文、想定問答づくり
- AIに任せないこと…売上や利益の計算・集計、決算書・試算表・資金繰り表の数字づくり、借入条件の最終判断
ChatGPTと事業計画書をめぐる情報は創業融資向けが目立ちますが、既存企業の「毎期の決算説明」や「追加融資・借換」でこそAIは役立ちます。手元にある決算という事実を整理して語るほうが、下書きの精度が上がるからです。
銀行は決算説明や追加融資のとき、何を見ているのか?
一般的に、銀行が中小企業を評価する際に重視するのは「返済原資」「数字の根拠」「経営者の説明力」の3点と言われます。返済原資とは借りたお金を返す元手のことで、一般的に税引後利益+減価償却費が目安とされます。3点それぞれで、AIに任せてよい部分・いけない部分を整理すると次の通りです。
| 銀行が見る点 | 具体的に問われること | AIで下書きできること | AIに任せないこと |
|---|---|---|---|
| 返済原資 | 利益と減価償却費で無理なく返せるか | 返済計画の説明文の構成・言い回し | 利益や返済額の計算そのもの |
| 数字の根拠 | 売上・利益がなぜ増えた(減った)のか | 増減理由の文章化、根拠の並べ方 | 根拠となる事実の確認・裏付け |
| 経営者の説明力 | 社長が自分の言葉で語れるか | 想定問答の作成、説明の練習相手 | 面談の場で実際に話すこと |
数字は会計ソフトと税理士、言葉はAIと社長。この分担が基本形です。
決算説明の資料はAIでどう作ればよいのか?
手順は「数字を人が抜き出す→理由をメモする→文章化をAIに頼む→自分の言葉に直す」の4ステップです。
- 決算書から主要な数字を抜き出す…売上高・粗利率・営業利益など前期比で5項目ほど。ここは人の仕事です
- 増減の理由を箇条書きでメモする…「材料費が上がった」「大型案件が完成した」など、きれいな文章でなくて構いません
- AIに説明文の下書きを依頼する…数字とメモを渡し、「事実→理由→対策」の順で整えてもらいます
- 声に出して読み、自分の言葉に直す…違和感のある表現を修正し、面談で話せる形に仕上げます
建設業なら、次のようなプロンプト(AIへの指示文)が使えます。数字は架空の一般例ですので、自社の数字に置き換えてください。
あなたは中小企業の財務に詳しいアドバイザーです。
当社は建設会社(従業員15名)です。今期の決算について、
取引銀行に説明する文章の下書きを作ってください。
・売上高:前期2億円 → 今期2.2億円(公共工事の受注が増加)
・粗利率:前期22% → 今期19%(材料費の上昇が主な要因)
・営業利益:前期1,200万円 → 今期900万円
・来期の対策:見積単価の見直し、外注費の管理強化
条件:
- A4半ページ程度、専門用語を使いすぎない
- 「事実→理由→対策」の順で書く
- 数字はこちらが入力したものだけを使い、勝手に補わない
ポイントは最後の一行です。「数字を勝手に補わない」と指示しないと、AIがもっともらしい数字を作ることがあります。下書きは必ず決算書と突き合わせて確認してください。
追加融資・借換の経営計画書はどう下書きするのか?
経営計画書は「事業環境→今後の取り組み→数値計画」の順で組み立てるのが一般的で、数値計画以外の文章部分はAIで効率よく下書きできます。「事業環境」は、日々現場で感じていることを言葉にするだけで説得力が出る部分です。物流業の例(内容は架空の一般例)でプロンプトを見てみましょう。
あなたは銀行融資に詳しい中小企業のアドバイザーです。
当社は物流会社(トラック20台)で、車両入替のための
追加融資を検討しています。経営計画書のうち
「事業環境と今後の取り組み」の下書きを作ってください。
・事業環境:ドライバーの高齢化、燃料費の変動、
荷主からの単価見直しの動き
・今後の取り組み:①燃費のよい車両への入替
②配車業務の効率化 ③新規荷主の開拓
・借入の目的:車両2台の入替資金
条件:
- 箇条書き中心でA4一枚以内
- 取り組みは「いつまでに・何をするか」が伝わる書き方に
- 金額や数値は入れず、●●と空欄のままにする
ここでも「金額や数値は空欄のままにする」が重要です。数字は自社の実績と受注見込みから自分で入れる(税理士への確認も有効)ことで、面談で突っ込まれても答えられる計画になります。AIが作った数字をそのまま出すと、根拠を聞かれた際に答えられず、かえって信用を落としかねません。
資金繰り表や数字の計算もAIに任せてよいのか?
数字の計算・集計はAIに任せないのが原則です。AIは文章は得意でも計算は間違えることがあり、しかも間違いに気づきにくい形で出てきます。資金繰り表そのものは会計ソフトやExcelで作り、必要に応じて税理士に確認するのが確実です。一般的な資金繰り表は「本業の入出金」「設備などの収支」「借入・返済の収支」の三段構成で、この項目立てや考え方をAIに質問するのは有効です。
AIで下書きと想定問答を準備したら、面談前に次のチェックリストで最終確認してください。B.I.Yが経営者の方との対話でよく使う観点をまとめたものです。
- 売上・利益の増減理由を、資料を見ずに自分の言葉で3つ言えるか
- 借入金の一覧(残高・毎月の返済額・金利)を把握しているか
- 返済原資(目安:税引後利益+減価償却費)と年間返済額の関係を説明できるか
- 今後1年の資金繰りの「山と谷」がどこに来るか話せるか
- 借入の使いみちと返済計画を、1分で説明できるか
5つすべてに「はい」なら、面談での印象は大きく変わるはずです。
税理士任せをやめて、社長が自分で語れると何が変わるのか?
銀行との関係が変わります。税理士に任せきりでは、数字の説明はできても「この会社をどうしたいのか」が伝わりません。社長が自分の言葉で現状と計画を語れると、銀行は貸した後の姿を想像しやすくなり、追加融資や借換の相談もしやすい関係になります。決算説明は年に一度の「自社のプレゼンの場」と捉えるのがおすすめです。
AIはその練習相手にもなります。下書きした説明文をAIに見せて「銀行の担当者になったつもりで、厳しい質問を5つしてください」と頼めば、想定問答が用意できます。体系的に身につけたい方には、経営者が1ヶ月でAIを実務に使えるようになるAI個別プログラムという伴走型の選択肢もあります。
銀行に伝わる資料づくりを、AIの使い方から整えたい方へ
銀行融資の資料づくりは、AIを下書き役に、数字は人が確認する分担ができれば半日ほどで質の高い準備が可能です。大切なのは資料の見栄えより、社長ご自身が自分の言葉で語れるようになることです。
株式会社B.I.Yは、建設・建築・物流の中小企業に特化したAI活用のパートナーです。AI個別プログラム(1ヶ月マンツーマン・10万円税別)では、経営者ご自身がChatGPTなどのAIを決算説明や計画づくりを含む実務に使えるようになるまで伴走します。まずは30分の無料相談から。「うちの決算説明にAIをどう使えるか」といったご相談だけでも構いません。お電話(050-3152-1971)またはお問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。
よくある質問
銀行融資の資料はAIだけで完成させられますか?
いいえ。AIが担えるのは説明文や計画の「下書き」までで、数字は決算書や会計ソフトから人が転記し、最終確認も経営者自身が行う必要があります。計算をAIに任せると誤りが混ざる恐れがあるため、役割分担が大切です。
決算書の数字をChatGPTに入力しても安全ですか?
入力する前に、社名や取引先名などの固有名詞を伏せる、入力内容がAIの学習に使われない設定やプランを選ぶ、といった対策をおすすめします。各サービスのデータの扱いは変わることがあるため、最新の仕様は必ず公式サイトでご確認ください。不安な場合は、数字を丸めた概算で下書きさせる方法もあります。
経営計画書はChatGPTでどこまで書けますか?
「事業環境の説明」と「今後の取り組み」の文章部分は、材料さえ渡せば実用的な下書きが作れます。一方、売上計画などの数値は自社の実績と受注見込みをもとに自分で入れる部分です。数字を空欄にして下書きさせ、後から人が埋める使い方が安全です。
資金繰り表の作り方もAIに聞いてよいですか?
項目立てや作り方の考え方を質問するのは有効です。一般的に資金繰り表は、本業の入出金・設備などの収支・借入と返済の収支に分けて作ります。ただし実際の数字の計算・集計は会計ソフトやExcelで行い、AIには任せないのが原則です。
ITが苦手な経営者でも、AIで融資資料を準備できますか?
できます。「数字とメモを渡して文章化を頼む」使い方であれば、特別なIT知識は不要です。自己流で不安な場合は、B.I.YのAI個別プログラムのように、経営者向けに伴走する学び方もご検討ください。
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読んだだけでは、自社に当てはめるのが一番むずかしい部分です。LINEで一言でも、お電話でも構いません。建設・物流の現場を知るB.I.Yが、御社の場合の進め方をお答えします。
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