Excelを残してシステムを入れると、二重管理はいつ終わる?|切り替え条件の決め方

「今のExcelを急にやめるのは不安だから、新しいシステムとしばらく一緒に使おう」。これは現実的な考え方です。ただし、同じ情報を両方へ毎日入力し続けるなら、仕事が二つに増えます。片方を直したのにもう片方を直し忘れ、「今日はどちらが正しい?」となることもあります。

併用で大切なのは、何日使ったらExcelを捨てるかという日数だけではありません。何を確かめるために並べて使い、どの条件が整えば入力を一本にできるかを先に決めること。この記事では、Excelを使い続けたい中小企業が、業務システムを少しずつ導入するときの切り替え方を考えます。

「Excelを残す」を三つに分ける

Excelを残すという言葉には、違う仕事が混ざっています。第一に、過去の記録を読むために保管すること。第二に、新しいシステムのデータを出力し、集計や確認に使うこと。第三に、今もExcelへ新しい取引を入力し、正式な記録として更新することです。

最初の二つは、導入後も必要かもしれません。問題になりやすいのは三つ目を、システムへの入力と同時に続ける場合です。両方を更新する間は、担当者が二回入力し、二つの数字が合うかを調べる仕事が発生します。安心のための併用が、毎日の負担に変わっていないか。まずそこを見ます。

「Excelをやめる」と決める必要はありません。入力するExcelをやめても、出力して分析するExcelは残せます。逆に、Excelに残す計算式が仕事の判断に欠かせないなら、その役割を先に確かめずに消すべきではありません。どの役割を残すかで、作る範囲も切り替え方も変わります。

先に決めるのは、画面より「どちらの数字が正式か」

ここからの例は、一般的な判断を説明するための仮定です。B.I.Yの顧客で実際に起きた出来事や、導入結果を紹介するものではありません。

例えば卸業の会社で、在庫の出入りを新しいシステムへ記録し、経営者向けの月次表だけをExcelで作り続けるとします。このとき、入荷や出荷の数量を確定する場所はシステムにし、Excelはその結果を出力して見る表にする、という役割分担が考えられます。Excel上で合計を直しても、元の出荷記録まで自動的に直るわけではありません。

そこで「数字が違う」と分かったら、どこへ戻って何を確かめるかを決めます。出荷伝票の数量を誤って入れたなら、権限を持つ人がシステムの記録を確認・訂正し、その後にExcelの集計を更新する。月次表の計算式だけが違うなら、出荷記録には触れず表を直す。違いの原因によって直す場所が変わります。

過去の記録まで新システムへ移す場合は、何年分を、どの項目まで移すかを決めます。未処理の注文や返品のように今も動いているものと、参照だけする過去の納品書では扱いが違います。古いExcelを閲覧用に残し、進行中の取引だけを確認して移す方法もあります。何でも移せば安全とは限らず、元の表にしかない手書きの意味を失うこともあります。

案件ごとに切り替えるなら、境目を曖昧にしない

別の仮定例です。建築業の会社で、進行中の工事は今のExcel台帳を使い、新しく受けた工事からシステムで工程や発注を扱うとします。この方法なら、全案件を同じ日に移す必要はありません。ただ、「新しい工事」の意味が人によって違うと、注文変更が入った案件をどちらへ書くかで迷います。

例えば「受注日が切り替え日以降の案件は新システム」「それ以前の案件は、完了まで旧台帳」という線引きが考えられます。ただし、切り替え日より前に受注した工事へ新しい発注が加わったらどうするか。ここを例外として決めておきます。案件番号や一覧に記録場所を示し、同じ工事の発注が両方に分かれたままにならないようにします。

どの線引きがよいかは、仕事の流れによります。案件数が多いなら案件単位、毎日同じ種類の記録が増えるなら日付単位で切る方が分かりやすいこともあります。取引先への帳票や請求が旧台帳とつながっているなら、その依存関係を先に調べます。画面だけ新しくしても、最後の書類を作る人がExcelへ戻って入力するなら、二重管理は終わりません。

並べて使う期間には、確認する項目と終える条件が要る

新旧を一時的に比べる目的は、「ずっと二つを動かす」ことではなく、切り替え前に重要な仕事を確かめることです。通常の一件だけでなく、返品、数量訂正、月をまたぐ案件など、実際に迷いやすい一件を含めます。両方の画面が開けるかより、発注や請求に渡る数字が合うか、違ったときに誰が直すかまで見ます。

併用を終える目安は、日数ではなく確認結果で置けます。例えば「入荷から出荷、納品書作成までの一連の記録を担当者が追える」「訂正が発生した一件を扱える」「月次表に必要な数字を出せる」「担当者以外も手順を説明できる」。これらは会社ごとに変える条件です。チェックを終えた人と日付を残せば、後から「もう切り替えてよかったのか」を見直せます。導入前に、切り替えを判定する日と責任者も決めます。通常の一件だけでなく、返品や数量訂正などの結果を元の記録から帳票まで追い、未解決の差異がないと確認できたら、責任者がその業務の切り替えを承認する。その時点から、切り替え対象の業務・案件について、旧Excelへの新規入力を止めます。判定日に条件を満たさなければ日付を延ばし、理由と次に確かめることを残します。

逆に、新システムで扱えない例外が見つかったなら、予定の日が来たからといって旧台帳の更新を止めるべきではありません。例外を手で確認して続けるのか、機能を直してから切り替えるのか。影響する仕事と費用を見て決めます。事前にその判断をする人を決めておくと、現場だけに責任が集まりません。

戻す場合も、二つの台帳を同時に直し始めない

切り替え後に重大な不一致が見つかったとき、旧Excelへ戻せるようにしたい、という考えは自然です。ただ、両方の入力を自由に再開すると、どの時点までの記録が正しいか分からなくなります。戻す条件と手順も、導入前に決めておきます。

例えば、請求に使う出荷数が確かめられないときは、出荷の事実を暫定的に記録しながら、該当分の請求確定を保留し、責任者が差分を確認する。旧台帳へ戻すと決めたら、切り替え後に新システムへ入れた取引の一覧を取り出し、どれを旧台帳へ反映したかを確認する。これは一つの考え方で、実際の復旧方法はデータの構造や利用するソフトで変わります。「戻せます」と口で言うだけでなく、誰がどの記録を使って戻すのかを開発側と確かめる必要があります。

古いExcelの保管先と編集権限も見直します。過去の内容を見るためのファイルを、全員がいつでも上書きできる状態にしない。今の仕事に使わなくなった台帳は読み取り用に残すのか、一定期間後に保存場所を変えるのかを会社のルールとして決めます。紙やExcelを残すことと、二重入力を残すことは別です。

今日できるのは、一つの仕事の「書く場所」を見える化すること

まず直近の一件を選び、紙・Excel・今のソフトのどこへ情報を書いているか並べてみてください。「その数字を確定する場所」「後から見るだけの場所」「同じ数字をもう一度打っている場所」を分けます。新システムを作る前でも、どの入力をなくしたいか、残すExcelは何に使うのかを話せます。

B.I.Yの育てるシステム開発では、現場の帳票やExcelを確認し、必要な部分を作り、使い始めるときの説明や運用後の改善まで相談できます。実際にどこまで作り、既存データをどう移し、導入支援をどの範囲で行うかは案件ごとに決めます。開発の相談に先立って顧問契約を結ぶ必要はありません。

埼玉県川口市の株式会社B.I.Yへは、公式LINEで「Excelを残してシステムを入れたい。二重入力をいつ終えるか相談したい」と一言送ってください。今の台帳一つから、どこを正式な記録にするか考えられます。

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