ITのことを相談する時間は取った。Excelの集計や、現場の情報共有についても話した。それなのに、翌月の打ち合わせで、また同じ困りごとから始まる。継続して相談する相手を持つなら、こうした状態を避けたいところです。
話せる相手がいることには価値があります。ただ、相談したことと、仕事が変わったことは別です。定例の打ち合わせでは、提案の数を増やすより、次回までに一つ、何を確かめるかを決めておくと、支援の進み具合を判断する材料が残ります。
これは、社長や社員に宿題を増やすための話ではありません。社内と相談先のどちらが何を準備し、何を見て次を決めるか。忙しい会社でも、相談を毎回ゼロから始めずに済むようにする考え方です。
「話した」「決めた」「試した」は、違う状態
打ち合わせの記録に「売上集計を改善する」と書いてあっても、具体的な方法を決めたのか、今のExcelを見せる約束をしただけなのかは分かりません。ここが曖昧だと、社長は進んでいるつもりで、現場は次の指示を待つ、という食い違いが起きます。
まず、話題にしたこと、次の行動を決めたこと、実際の仕事で試したことを分けます。例えば「商品名がそろわない」は相談した課題。「一つの取引先の注文だけ、呼び方を確認する」は決めた行動。「その注文を受けた担当者が、対応表で商品を選べた」は試した結果です。
試していない段階で「効果がなかった」と判断するのも、行動を決めただけで「改善できた」とするのも早い。どの状態かが分かれば、次回は同じ説明の繰り返しではなく、止まった場所から相談できます。
以下の卸業と建設業の場面は、進め方を説明するための仮定例です。B.I.Yのお客様の実際の相談内容や、確認済みの成果を紹介するものではありません。
卸の例:商品名の整理を、全部一度に始めない
仮に、卸会社で、取引先の注文書の商品名と自社の商品名が違い、受注のたびに担当者へ確認しているとします。定例相談で対応表を提案しても、「全商品を整理する」と決めるだけでは、日々の受注に追われて着手しにくくなります。
この場合、まず一つの取引先と、確認が繰り返される商品だけを対象にします。社内では、最近の注文書と自社の商品一覧を用意する。相談先は、同じ商品と判断する手掛かりを整理し、見本の表を作る。実際に注文を扱う担当者が、一件をその表で確認します。
確かめるのは、表が完成したかだけではありません。担当者が迷わず自社の商品を選べるか、似た名前で品物を取り違えそうな行があるか、分からない注文を誰へ戻すか。判別できないものは、無理に同じ商品へ寄せず、未確認として残します。
ここで表を使っても確認が必要だったなら、失敗と片付けずに理由を見ます。名前では区別できず、型番や寸法が必要なのかもしれません。逆に、既存の販売管理ソフトに別名を登録でき、追加の表を作らずに済む可能性もあります。試した一件から、次に調べる場所を選ぶわけです。
社長が知りたいのは、担当者以外でも受注を進められるか。現場が知りたいのは、分からないときに推測せず確認できるかです。この二つをそろえて見ると、表の行数を増やすこと自体が目標になりにくくなります。
建設の例:写真の保存先を決めても、使えたかは別
もう一つ、仮に建設会社で、現場写真を探すたびに、スマホ、個人のPC、共有フォルダを見に行くとします。定例で保存先を決めた。しかし、次回も写真が見つからない。ここで「社員がルールを守らない」と結論を急がないことが大切です。
現場で撮る人は、帰社する前に写真を渡したいかもしれません。書類を作る人は、工事ごとに並んでいないと探せない。保存先を一つ決めるだけでは、撮影後の受け渡しと、使う側の探し方がつながっているかは分かりません。
一つの現場で、撮った写真を決めた場所へ置き、事務の担当者が翌日の書類作成で取り出せるかを確かめます。会社が用意するのは、対象の現場と撮る人・使う人。相談先には、保存方法の確認や操作説明をどこまで頼むかを決めます。実際の作業で試す前に、共有する資料や権限の扱いも確認します。
もし写真を置けなかったなら、忙しさだけでなく、現場から保存先へ接続できるのか、操作が分かるのかを分けて確認する。置けたのに探せなかったなら、工事名や日付の付け方を見直す。保存できたことと、次の仕事に使えたことは別の確認です。
この一件で全現場の運用が決まるわけではありません。それでも、同じ保存方法を他の現場へ広げるか、受け渡しの手順を変えるべきか、使う人への説明が必要かが具体的になります。新しいアプリの導入を決める前に、今の環境で何が止まるかを見る材料になります。
次回までの行動は、四つだけ残す
定例の最後には、一つの行動について次の四点を短く残します。長い議事録より、後で同じ一件を確認できることが大事です。
- 対象の仕事: どの取引先の注文、どの現場の写真など、試す範囲を決める。
- 社内と相談先の担当: 資料を用意する人、方法を整える人、実際に使う人を分ける。
- 確かめる日: 次の注文や書類作成など、実際にその仕事が発生する日に合わせる。
- 次に判断すること: 続ける、範囲を広げる、方法を変える、いったん止めるために何を見るかを決める。
例えば、月に一度しか発生しない集計を、翌週の打ち合わせまでに試すと決めても、実際の仕事がありません。試せる日が先なら、資料の確認を先に行い、本当の結果を見る日を別に残します。打ち合わせの日付に合わせて、無理に成果を作る必要はありません。
依頼先の作業だけで進むこともあれば、社内の確認を待つこともあります。どちらかの担当にまとめて押し付けず、相談先が準備するものと社内で決めるものをそろえる。追加の開発や設定変更が必要なら、着手前に費用と契約範囲を確認します。
試せなかったときこそ、次の相談材料がある
仕事の都合で試せない月もあります。そのときは「未実施」で終わらせず、理由を一つだけ残します。対象の注文が来なかった、資料がそろわない、判断する人が決まらない、操作の途中で止まった。理由によって、次に必要な支援が変わるからです。
対象の仕事が起きなかったなら、確認日を変える。資料がそろわないなら、すべてを集める前に一件の見本で話せないか検討する。判断が止まるなら、社長に確かめたい選択肢を絞る。操作で止まったなら、担当者と実際の画面を見て手順を確認します。
「試せなかったから何も進んでいない」とは限りません。ただし、理由が分かったことを効果が出たことに置き換えない。試した結果が得られたら、残る手作業や確認待ちも含めて、使い続けられるかを見ます。
継続相談の価値を判断するときも、会議の回数や紹介されたツールの数だけでは足りません。次に確かめる仕事が決まり、その結果から方法や優先順位を見直せているか。必要な支援と社内の負担が契約の範囲で収まっているかを、定例の記録と一緒に確かめたいところです。
今日の相談を、次の一件につなげる
今日できることは、最近相談した困りごとを一つ選び、「話しただけ」「次の行動を決めた」「実際に試した」のどこまで進んだかを書いてみることです。まだ行動を決めていないなら、対象を一件に絞り、誰が何を確認すれば次を決められるかを短く残します。
B.I.YのAI・IT顧問は、会社全体の仕事やITの困りごとを継続して相談するサービスです。Excelやマクロによる改善、方法の比較、操作説明、使い始めた後の確認まで、依頼する内容と作業量を確かめて進めます。顧問契約だけで、すべての開発や改修が料金に含まれるわけではありません。
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