業務の例外は、どこまでシステム化する?人の判断を残す発注の考え方

いつもの注文なら、品番と数量を入れて納品書を出せる。ところが、普段とは違う引き渡し方や、日程が決まらない一件が出ると、Excelと電話へ戻っている。業務システムを考えるとき、こうした例外も全部作り込むべきか、迷うことがあります。

社長は手作業を減らしたい。現場の担当者は、条件がそろわないまま自動で先へ進むことを心配する。どちらも大切な事情です。例外を一つ見つけるたび機能を追加する前に、何を機械に任せ、どこで人が判断し、その結果をどの記録へ戻すかを分けてみてください。

「人が判断する仕事を残す」と「その仕事を仕組みの外へ放り出す」は違います。この境目が見えると、作る範囲と、導入後に自社で続ける仕事を一緒に選べます。

回数が少ないだけでは、作らない理由にならない

毎日起きる作業と、年に数回しかない作業では、仕組みを作る優先順位は変わります。ただ、少ない回数だけで対象外にするのは早い。間違ったときに、どこへ影響するかも見ます。

例えば、帳票の並び順をたまに変える仕事と、普段と違う相手へ品物を渡してよいかを確かめる仕事では、判断の重さが違います。後者は回数が少なくても、確認を飛ばして次へ進まない仕組みが必要かもしれません。判断そのものを自動にする必要があるかは、別に考えられます。

反対に、例外に見えても、条件が決まっている仕事があります。締め日や届け先の区分に応じて帳票を分けるなど、必要な情報がそろい、毎回同じ条件で結果を決められるなら、仕組みに持たせる候補です。会社ごとに判断が変わる一件と、決まった条件を繰り返す一件を、同じ「例外」の言葉にまとめないことが出発点になります。

卸の例:配送する注文を、倉庫で引き渡すことになった

以下の二つの業務場面は、発注時の考え方を説明する仮定例です。B.I.Yの顧客の実際の運用や、導入の成果を紹介するものではありません。

卸会社が、通常は商品を配送するところ、ある注文だけ取引先による倉庫引取りへ変更する場面を考えます。来る人や時間がまだ決まらず、営業が相手と調整しているとします。

この一件を通常の配送と同じように進めると、配送の準備が二重になったり、引渡し前なのに出荷済みの扱いになったりする心配があります。引取りの約束を機械が決められないなら、営業や社内の確認者が判断を持つ方法が考えられます。

それでも、倉庫が確認待ちだと分かること、引渡し内容を確定する担当が分かること、実際に渡した品番・数量・時点が元の注文につながることは必要です。電話で調整したまま別の手帳にだけ残すと、通常の一覧を見た人が残りの仕事を把握できません。

発注では「倉庫引取りも自動化できますか」だけでなく、「通常の配送準備から外し、確認待ちにして、人が確定した後に同じ注文へ引渡し結果を残せますか」と聞きます。引渡しの判断は人に残し、待ち状態と記録のつながりを仕組みに持たせる。これなら、人の仕事を残す範囲が具体的です。どの情報を確認して渡すかは、実際の取引と自社の手順に合わせて決めます。

建築の例:資材の納期が決まらない一件を、予定表へ戻す

もう一つは、建築会社で資材の納期が未定になり、仕入先や協力会社との調整が必要になる仮定例です。通常なら確定した搬入日を工程表と発注の記録へ入れますが、この一件は新しい日付をまだ入れられません。

空欄を埋めるため、仮の日付を確定日と同じように扱うと、その日付を使う別の担当者が作業の予定を決めてしまうことがあります。必要なのは、分からない日をもっともらしく補う機能より、未定であることと、誰が何を確かめているかを見られる形です。

電話で相手と調整する仕事を当面残すなら、案件・発注に結び付けて「納期確認中」「確認担当」「次に確認する日」を持たせる方法が考えられます。調整が終わったら、確定した日付を元の記録へ戻し、どの担当者へ伝えるかも決めます。次の確認日と、実際の搬入予定日は別の意味として扱います。

この場合、工程をすべて自動で組み直す開発を最初から含める必要があるかは、件数や調整の内容次第です。まず未定の一件を見落とさず、判断が済んだら工程表へ戻せる範囲から考える選択もあります。ただし、確認待ちでも進めてよい作業と、確定するまで進められない作業は、自社の責任者が決めます。システムの都合で、現場の判断を飛ばさないようにします。

自動化するかは、三つを合わせて比べる

一つ目は、判断に使う条件がそろうか。同じ情報があれば毎回同じ結果にできるのか、相手との相談や現物の確認が要るのかを見ます。詳しい人なら判断できる、というだけでは条件が明確になっているとは限りません。何を確かめて決めたかを、その人に聞きます。

二つ目は、間違ったまま進んだときの影響です。一覧の表示が違うだけなのか、品物を動かす、相手へ連絡する、帳票を確定するところまで進むのか。人が確認するまで止める部分は、ここから選びます。回数が少なくても、次へ渡す情報の意味は省けません。

三つ目は、残る人手を続けられるかです。担当者一人が月に一件を確かめれば済むのか、複数部門へ電話して別の表に何度も打ち直すのか。不在時に引き継げるかも含めます。自動化を小さくしても、会社側の仕事が大きく増えるなら、その選び方は見直す必要があります。

開発費だけで比較せず、判断・記録・再入力・引継ぎに誰の時間が残るかを並べます。一律の件数で線を引く必要はありません。人が内容を決める一方で、元のデータを引き継ぐ、未処理の一覧を出す、確定後に帳票へ反映する部分を作ることもできます。

見積もりの「対象外」に、残る仕事を書いてもらう

「特殊な注文は対象外」とだけ書かれた見積もりでは、導入後の仕事を想像しにくくなります。対象外の一件は、どこで止まり、誰が処理し、どこへ結果を戻すのか。開発会社と自社の両方で確認しておきます。

例えば「引取りの調整は自社で行う。注文の確認待ち表示と引渡し結果の記録は今回作る」のように分けると、担当者が続ける仕事と、今回頼む機能が見えます。別のExcelを使うなら、元の注文番号を引き継げるか、最終結果を再入力する人は誰かまで確かめます。対象外が多いほど安い、とは単純に判断できません。

試作品では、対象外の一件も途中まで通してください。未定の値を確定扱いで出さないか、確認待ちを担当者が見つけられるか、人が処理した結果を通常の一覧へ戻せるかを見ます。通常の一件が最後まで動くだけでは、残した仕事を無理なく続けられるかは分かりません。

使い始めた後、同じ例外が繰り返し増えてきたら、対象へ加える判断材料になります。回数だけでなく、待ち時間や転記、不在時の確認に何が残ったかを記録し、改修する範囲・優先順位・費用を相談します。「育てる」開発でも、対象外だった機能が無条件に無料で追加されるわけではありません。

今日、一件だけ「残す判断」と「残す記録」を分ける

最近、通常とは違う進め方になった一件を選び、今の紙やExcelへ二つ印を付けてみてください。人に確かめてもらわないと決められなかったところと、同じ情報をもう一度書いたところです。前者を残すとしても、後者まで全部残す必要があるかは考えられます。

その一件に「誰が判断する」「判断待ちはどこで分かる」「決まった結果をどこへ戻す」を一行ずつ添える。例外の一覧を完璧に作るより、まず一件の受け渡しを追う方が、今回頼む範囲を具体的にできます。

埼玉県川口市を拠点とするB.I.Yでは、必要な部分を作り、導入時の説明や運用中の改善まで、仕事と契約範囲を確かめながら進める育てるシステム開発をご案内しています。既存のExcelやソフトで足りる部分も確認し、開発から直接相談できます。顧問契約は前提にしていません。

公式LINEへ、「通常と違う注文だけ、手作業に戻ってしまう。どこまで作るか相談したい」と一言お送りください。自動化したい機能名が決まっていなくても、例外の一件から整理できます。

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