得意先ごとの単価が担当者しかわからない|価格表と改定履歴を整える方法

得意先別の単価管理は、誰に、どの商品を、どの条件・期間の価格で売るかを一つの記録で確認できるようにすることが基本です。価格表を最新版へ書き換えるだけでは、過去に決めた特別価格や改定前の注文を追えなくなることがあります。まずは担当者の持つ表やメモから、単価が変わる条件を整理しましょう。この記事では、値上げ交渉ではなく、決まった価格を見積・受注・納品へ正しく引き継ぐ方法を説明します。

同じ商品でも、単価が違う理由を残す

説明用の仮定例です。同じ商品でも、得意先Aにはまとめ買いの価格、Bには通常価格を使い、Cだけは過去の見積に合わせる約束があるとします。担当者は覚えていても、別の人が受注すると、前回の伝票を探したり営業へ電話したりすることになります。

このとき、すべてを一律の価格にする必要はありません。会社として必要な取引条件を残しながら、判断の根拠を見えるようにすることが目的です。単価の違いを『いつもの価格』とせず、取引先、商品、数量条件、期間、今回限りの扱いなどに分けて書き出します。

前回と同じ金額が出てきても、その価格を今回使えるとは限りません。前回限りの値引きなのか、継続して適用する合意なのかを区別します。過去の実績と、現在使ってよい価格のルールを同じものとして扱わないことが大切です。

価格表に、適用期間と単位を加える

単価表は金額だけの一覧にせず、次の項目を組み合わせて作ります。最初から複雑な仕組みにするより、現在の入力で迷っている条件から加えてください。

項目決めておく内容
得意先・商品番号同名の商品や別支店を取り違えない識別情報
販売単位1個、1箱など、金額が何に対する単価か
適用する条件数量、案件、納入先などの条件
適用期間・基準日いつからいつまで、注文日・納品日等のどれで判断するか
確認者・根拠誰が確認した価格か、見積や合意の記録はどこか

特に、注文日と納品日を混同しないようにします。『来月から改定』と決まっていても、今月受けた来月納品分がどちらの価格になるかは、取引条件を確認しなければ決まりません。ソフトの設定を先に決めるのではなく、営業・事務で扱いをそろえてから入力方法へ落とし込みます。

単位も確認が必要です。同じ数字でも、1箱の価格と1個の価格では意味が変わります。価格表と受注画面の両方で販売単位を確認できるようにし、金額だけをコピーして済ませない形にしましょう。

価格改定では、過去の伝票をそのまま残す

新しい単価へ切り替える際は、過去の価格を消して上書きする方法に注意が必要です。過去の納品書を再表示したとき、最新の単価を参照して金額まで変わってしまう作りでは、当時の取引を確認できません。

会社の仕組みを確認するときは、『現在の単価表』と『その取引で確定した単価』が分かれているかを見ます。価格表は新しい見積や受注の入力に使い、確定した伝票には、そのとき適用した単価と条件を残す考え方です。修正が必要になった場合も、誰が何を直したかを追えるようにします。

  • 新しい単価が適用される最初の注文を確認する。
  • 改定前の注文で、まだ納品していないものを洗い出す。
  • 今回限りの特別価格が、新しい通常価格より優先されるかを確認する。
  • 過去の伝票を再表示・再出力し、当時の金額が変わらないことを確かめる。

この確認は、すべての商品を本番で切り替えてから行うより、代表的な条件を選んで試すほうが進めやすくなります。日付が境目にある注文や特別価格の注文を使うと、通常の注文だけでは気づきにくい問題を見つけられます。

販売管理ソフトを使っていても、設定で改善できる

得意先別の単価や履歴は、個別開発だけの機能ではありません。弥生販売の公式サポートには、伝票入力中に過去の単価を参照し、対象の取引先を切り替えて確認できる機能が説明されています。まずは今の製品で利用できる機能と、実際の設定を確かめましょう。

一方で、『過去の単価を参照できる』ことと、『自社のすべての取引条件から自動で適用単価が決まる』ことは別です。期間、数量、案件単位の例外など、どの条件を扱えるか確認します。製品の機能に合わせて仕事を整理すれば足りる場合もあります。

Excelで続けるなら、単価表を一か所に置くこと、変更できる人を決めること、古い条件を追えることを先に整えます。人が選ぶ作業を残しても、選ぶ根拠が同じ場所にあれば、担当者への確認を減らせる余地があります。

受注から納品書まで独自の条件がまたがり、今の製品の設定や連携では扱いきれないときに、業務に合わせたシステム開発を比較します。B.I.Yでも、既存ソフトを残せるか、Excelの改善で足りるかを確認したうえで、必要な範囲を検討します。

AIより先に、価格を決めるルールをそろえる

AIに価格表やメモを整理させる方法を検討する場合も、販売単価をAIの推測で確定しないようにします。根拠が見つからない価格は『要確認』として止め、担当者が確認した内容を価格表へ戻します。特別価格を誰が決めるかという権限も、AIとは別に決めておきます。

最初の一歩は、最近入力に迷った注文を一件選ぶことです。何を見れば価格が決まり、どの条件が見つからなかったかを営業と事務で確かめます。会社全体の単価表を一気に作り直すより、繰り返し聞かれている条件から整えるほうが取りかかりやすくなります。

B.I.Yは、5年間の顧問経験をもとに、Excelやマクロの改善、現在のソフトの使い方、社員が運用する手順まで相談を受けています。『どの条件から整理すればよいか』という段階なら、AI・IT顧問の業務改善支援でお聞かせください。開発するものが決まっていれば、開発から直接のご相談も可能です。

よくある質問

得意先ごとにExcelファイルを分けてもよいですか?

少数なら運用できますが、どれを更新したか、どの期間の価格かを確認する手間は残ります。同じ商品を複数ファイルへ直しているなら、入力元をまとめ、取引先別に見せ方を分ける方法を検討します。

前回の単価を自動入力すれば解決しますか?

前回と条件が同じなら入力の助けになりますが、今回限りの値引きや価格改定がある場合は確認が必要です。過去に使った価格と、今回適用できる価格を区別して管理しましょう。

単価管理のために販売管理ソフトを全部入れ替える必要がありますか?

必ずしも必要ありません。既存製品の単価・履歴機能、設定、他の表との連携を調べ、残る手間を確認してから入れ替えや個別開発を判断します。

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