「在庫が何個あるか、すぐ分かるようにしたい」。卸業の仕事を整えるとき、最初に出てきやすい話です。でも、在庫表を紙から画面に移しただけでは、納品書をExcelへ打ち直す仕事は残ります。数を確認する作業と、書類を作る作業が別々のままだからです。
かといって、最初から会社中の帳票を一つの巨大なシステムに入れる必要もありません。まず見たいのは、一つの商品について「仕入れた」「出した」「納品書に書いた」という情報が、どこで分かれているか。そこが見えると、在庫表だけを直すべきか、仕事のつながりを直すべきかが判断しやすくなります。
在庫表が正しくても、入力し直しはなくならない
たとえば、次のような流れで仕事をしている会社を考えてみます。これは説明のための仮定例で、B.I.Yのお客様の実際の運用を再現したものではありません。
- 仕入れた商品を紙のメモに書き、担当者が在庫表へ数を足す。
- 受注が入ると、倉庫で現物を確認し、出す数を紙に書く。
- 事務所でその紙を見ながら、品名と数量をExcelの納品書へもう一度入力する。
ここで在庫表をアプリに変えると、今ある数は見やすくなるかもしれません。しかし、出荷した内容が納品書を作る人に渡らなければ、三つ目の入力はそのままです。「在庫管理をシステム化したのに、事務の時間が変わらない」と感じる理由は、この境目にあることがあります。
逆に、Excelの納品書だけを自動生成しても、元になる商品名や出荷数が毎回別のメモから入力されるなら、転記先が変わるだけです。大切なのは画面の数ではなく、同じ仕事の情報を、次の担当者が使える形で渡せるかです。
「注文された数」と「実際に出した数」を分ける
在庫と納品書をつなぐ際に、最初に確かめたいのは、数量が何を意味しているかです。注文が来た時点では、まだ商品は倉庫にあります。出荷が確定した時点では、出した数量が決まります。納品書に載せる数量は、会社の帳票ルールに沿って、実際に納める内容と合っている必要があります。
次の数字も説明用の仮定例です。お客様から商品Aを7個注文され、今日は4個だけ出すとします。残りの3個は後日対応する予定です。このとき、注文書には7個と書かれていても、今日の納品内容を示す納品書なら、今日出した4個と後日分の3個を区別する必要があります。区別できなければ、納品書を作る人が倉庫へ電話で確認し直すことになります。
在庫の数も同じです。注文された7個を「これから出す予定」として確保することと、実際に出荷した4個を現物の在庫から減らすことは別です。前者を引当と呼ぶ場合もありますが、まずは「倉庫にある数」と「ほかの注文に回せる数」を分けて考えれば十分です。ここを決めずに「在庫と納品書を連動させてください」と依頼すると、画面はつながっても現場の数字が合わなくなります。開発の前に、いつ何を確定するかを言葉にしておく方が、後の修正を減らせます。
| 仕事の時点 | 確かめたいこと | 次に使う情報 |
|---|---|---|
| 仕入れを受けたとき | 何を、何個、受け入れたか。未着や返品をどう区別するか | 在庫の元になる記録 |
| 注文を受けたとき | 何を何個求められ、いつ納める約束か | 準備する数量と予定 |
| 出荷を確定するとき | 実際に何を何個出したか。未出荷分が残るか | 在庫の更新と納品書の元になる記録 |
| 納品書を作るとき | 取引先に示す品名・数量・日付が出荷内容と合うか | 渡す帳票 |
設計を考える際の流れを一行にすると、仕入れを記録する → 現在庫を確認する → 実際の出荷を確定する → 確定した内容から納品書を作る、となります。矢印の間で毎回人が書き直している情報が、改善の候補です。
これは全社共通の正解ではなく、業務を聞き取るための整理表です。売上計上や請求の時点を、自動的に出荷日と同じだと決めつけないことも大切です。自社で使う帳票と担当者に合わせて、どの記録を確定情報とするか決めます。
商品名をそろえるだけでは足りない
仕入れ、在庫、納品書で同じ商品を扱うなら、品番などの共通の手掛かりが必要です。ただ、名前をそろえるだけで仕事がつながるわけではありません。「商品A」「A型」「取引先の呼び名」が同じ品物なのか、取引先向けの表記だけが違うのかも確かめる必要があります。
ここで、すべての会社が新しい商品マスタを一から作るべきだ、と言いたいわけではありません。今使っている販売管理ソフトやExcelに商品一覧があるなら、それを起点にできる場合もあります。まずは一つの品物について、仕入れ伝票、在庫表、納品書の品名や品番を横に並べてみてください。
同じものだと分かるなら、次は「誰が新しい商品を登録するか」「名前を直したとき、過去の納品書はどう残すか」です。商品名を後から上書きすると、過去の取引書類まで今の名前に見えてしまう設計もあり得ます。現在の一覧と、発行済みの帳票をどう扱うかは分けて考えます。難しいデータベースの話をする前に、現物の帳票を見れば判断できる点です。
つながらない原因は、例外の場面に出やすい
通常の注文を一件だけ流す画面は、比較的きれいに作れます。実際の仕事で詰まりやすいのは、いつもと違う一件です。たとえば一部だけ先に納める、仕入れた商品に破損がある、納品書を発行した後で数量の訂正が入る。これらを全部「担当者が気をつける」で済ませると、システムの外に別のメモが増えてしまいます。
ただし、例外を初日からすべて自動化する必要はありません。頻度が低く、責任者が確認した方が確かな処理なら、「要確認」として止める設計もあります。大事なのは、何が起きたら人が判断し、どの記録を直したら次の帳票に反映するかを決めることです。誤りを見つけたときに、在庫表だけ直し、納品書は古いまま、という状態を防ぎます。
自社で考えるなら、直近の一週間で「いつもの流れから外れた注文」を一件だけ選び、その際に誰が誰へ確認したかを追ってみてください。使われた紙やExcel、電話の内容まで書き出すと、専用の機能が必要なのか、既存ソフトの設定で足りるのかが見えます。
B.I.Yが卸業で作ったのは、三つの仕事を扱う仕組み
B.I.Yでは、卸業のお客様に、仕入れ情報の取り込み・在庫管理・納品書作成を一つにした業務システムを開発しています。以前は在庫を手書きや目視で把握し、納品書はExcelへその都度入力していたことが、確認できている導入前の状況です。卸業の開発例を図で見ることができます。
この事例から言えるのは、「在庫の画面」だけでなく、仕入れと納品書まで仕事の範囲に入れて作ったことです。ただ、扱う商品も、伝票の書式も、確定の手順も会社によって違います。同じものをそのまま入れれば解決する、という話ではありません。自社の帳票と仕事の流れに置き換えて考えることが大切です。
作る前に、三つの帳票で「同じ情報」を線で結ぶ
最初の一歩は、システム会社に詳しい仕様書を渡すことではありません。最近の一件を選び、個人名や取引先の機密情報を隠したうえで、仕入れの記録、在庫を見ている表、実際に発行した納品書を並べます。そして、同じ品物・同じ数量がどこで書かれ、どこで変わったかを線で結んでみます。
- 同じ品物を別の名前で書き直しているところはどこか。
- 数量を電話で確認しないと次へ進めないところはどこか。
- 注文数と実際の出荷数を分けている記録はどれか。
- 納品書を作った後に訂正が出た場合、誰が何を直しているか。
紙やExcelを全部捨てる前提にはしません。入力する人が少なく、今の帳票で確認が回っているなら、Excelを整える方がよい場合もあります。既製の販売管理ソフトが仕入れから納品書まで今の仕事を扱えるなら、その機能を使う方が早いかもしれません。一方で、既存の道具の間に毎回手入力や電話確認が挟まり、必要な情報を渡せないなら、その部分だけをつなぐ開発を検討できます。どの方法でも、社員が使い始めるときの説明と確認の役割まで決めておくことが欠かせません。
B.I.Yの業務システム開発の進め方でも、既存のExcelや市販ソフトを生かす方法を含めて検討し、必要な部分を作る考え方を案内しています。顧問契約を先に結ぶ必要はなく、開発から直接相談できます。
「在庫表はある。でも納品書は毎回打ち直している」。そんな状況なら、公式LINEで「手書きの在庫と納品書をつなぎたい」と一言送ってください。友だち追加の後、トーク画面からメッセージをいただければ、今どの仕事が分かれているかを伺います。B.I.Yは埼玉県川口市を拠点にしています。
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何を頼めばいいか、決まっていなくても大丈夫です。5年間、顧問として紙やExcelを使う現場に向き合ってきたB.I.Yが、今の仕事を伺い、合う進め方を一緒に考えます。
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