車両10〜30台の運送会社がエクセルの配車表をシステム化すべきタイミングは、「配車が組めなくなったとき」ではなく、「共有」と「転記」に限界の症状が出たときです。最新版のファイルがどれか分からない、変更のたびに電話とLINEとホワイトボードを直す、月末に実績を別のExcelへ打ち直す——こうした状態が常態化していたら見直しどきです。その際、月額数万〜数十万円といわれる高機能な自動配車システムへ一足飛びに移る必要はありません。ベテランの配車ロジックは頭の中のままに、使い慣れたエクセルの型を活かした「軽量な自社専用配車ボード」という中間解から始めるのが、中小の実態に合った現実的な進め方です。
配車表のエクセル管理は、どこから限界が来るのか?
結論から言うと、エクセル配車表の限界は「配車が組めない」ことからではなく、「共有できない」「転記が多い」ことから先に来ます。どの車にどの荷を載せ、どの順で回すかという判断そのものは、ベテラン配車係のExcelと頭の中で十分に回っている会社が大半です。壊れるのはその周辺、つまり情報の流れです。
- 共有できない…配車表が配車係のパソコンの中にしかなく、同時に開けず、最新版がどれか分からなくなる
- 転記が多い…同じ変更内容を、電話・FAX・LINE・ホワイトボード・点呼記録へ何度も書き写す
- 情報がずれる…事務所・ドライバー・傭車先で手元の情報が食い違い、確認の電話が頻発する
- 実績が残らない…終わった配車表は上書きされ、月末の集計や荷主への報告のために打ち直す
つまり直すべきは配車ロジックではなく、情報の流れです。この見立てを最初に持っておくと、「多機能なシステムを丸ごと入れる」という過剰投資を避けられます。
システム化を判断するサインは?10項目チェックリスト
次のチェックリストで3つ以上当てはまれば、共有と転記の仕組みを見直すタイミングと考えてよいでしょう(あくまで目安です)。台数より症状で判断するのがポイントです。
- 配車表を実質1人しか触れず、その人が休むと配車が止まる
- 「最新」「修正」と付いたファイルが複数あり、どれが本物か迷うことがある
- 配車変更のたびに、電話・LINE・ホワイトボードなど2か所以上へ同じ内容を書き写している
- ドライバーからの「明日どこでしたっけ」という電話やLINEがほぼ毎日ある
- 傭車(協力会社)への依頼内容を、FAXやメールに手で打ち直している
- 終わった配車表を上書きしていて、先月の実績をすぐに出せない
- 月末に、配車表から請求・支払・日報へ手作業で転記している
- 荷待ち時間や拘束時間を聞かれても、記録がなくすぐに答えられない
- 配車係の残業が、配車を組む作業より「連絡と転記」で発生している
- 「今日の確定情報はどこにあるか」の答えが、人によって違う
あくまで一般的な試算例ですが、配車変更の連絡と転記に1日合計1時間かかっているとすると、月20日稼働で約20時間。配車係の残業が、配車そのものではなくこの周辺作業から生まれている会社は少なくないと言われます。
物流2024年問題・2026年問題で、配車係の仕事はどう変わる?
結論から言うと、配車係が管理・記録すべき項目が増え、「頭の中とエクセル」だけでは追いつきにくくなる方向に変わります。2024年4月からドライバーの時間外労働に上限規制が適用され(物流2024年問題)、拘束時間や休息を踏まえた配車が求められるようになりました。さらに改正物流効率化法により、2025年4月から荷待ち・荷役時間の短縮などの努力義務が広く課され、2026年4月からは一定規模以上の事業者に中長期計画の作成など、より強い措置が始まるとされています(物流2026年問題)。制度の詳細や自社が対象かは、必ず国土交通省などの公式情報でご確認ください。
車両10〜30台の会社が直接の計画義務の対象にならなくても、無関係ではいられません。大手の荷主が荷待ち時間の削減や実績データの提出を取引先の運送会社に求める場面は、今後増えると考えられます。「何時に着いて、何分待ったか」を紙とエクセルの転記だけで記録し続けると、負荷は配車係一人に集中します。共有と記録が自動で残る仕組みの価値が上がっているのは、この文脈からです。
自動配車システムは高い?中小に必要なのはどこまでか
高機能な自動配車システムや配車管理システム(TMS)は、一般的に月額数万〜数十万円程度といわれます(機能や台数により幅があります)。AIが最適な積み合わせやルートを計算してくれる優れた仕組みですが、10〜30台規模の会社がまず困っている「共有と転記」を解決するだけなら、そこまでの機能は必ずしも必要ありません。
自動配車が威力を発揮するのは、車両数が多く、人手による配車計算そのものが追いつかない場合です。一方、中小では「配車の最適化はベテランがすでにやれている」ことが多く、多機能なシステムを入れても結局エクセル併用に戻ったという話も一般に聞かれます。選択肢を3つに整理します。
| 観点 | エクセルのまま | 高機能TMS・自動配車システム | 軽量な自社専用配車ボード |
|---|---|---|---|
| 費用感 | 追加費用なし | 一般に月額数万〜数十万円といわれる | 例:B.I.YのAI駆動開発は構築30万円〜+月額5万円〜(税別) |
| 配車を組むのは | ベテランの頭+手作業 | システムが自動計算(設定・データ整備が前提) | 従来どおりベテラン(画面はエクセルの型を踏襲) |
| 共有 | ファイル送付・電話・転記 | リアルタイム | リアルタイム(事務所とドライバーのスマホで同じ画面) |
| 業務との相性 | 自社の型そのもの | パッケージに業務を合わせる必要がある | 自社の業務に合わせて作る |
| 実績データ | 上書き・手集計 | 自動で蓄積 | 自動で蓄積 |
| 向いている会社 | 共有・転記にまだ困っていない | 台数が多く、配車計算自体を自動化したい | 配車ロジックは今のままで、共有と転記だけ直したい |
エクセルの型を活かした「軽量な配車ボード」とは何か?
見た目と使い方は今のエクセル配車表のまま、「同時に見られる」「転記が消える」「実績が残る」の3点だけを作り替えた、自社専用の小さなシステムのことです。具体的には次のような姿になります。
- 画面は今の配車表のレイアウトを踏襲する(縦に車両・横に時間、色分けのルールもそのまま)
- 事務所の誰でも同時に開け、変更は全員の画面にリアルタイムで反映される
- ドライバーはスマホで自分の行き先だけを確認できる(「明日どこでしたっけ」の電話が減る)
- 確定した配車は自動で履歴に残り、月末の集計や荷主への報告にそのまま使える
こうした自社専用システムは、従来300〜500万円以上かかるといわれてきました。現在はAI(Claude Code等)を活用した開発で、この費用の壁が下がっています。例えば当社B.I.YのAI駆動開発は、歴10年以上のプロエンジニアがAIを活用し、構築費用30万円〜+月額5万円〜(税別)で、セキュリティと操作性を押さえた自社専用システムを開発し、月額の中で定着まで伴走して「育てる」方式です。パッケージに業務を合わせるのではなく、今の配車表の型に合わせて作れることが要点です。
なお、ベテランの勘やノウハウを次の担当者へ引き継ぐことは、別の「人の引き継ぎ」の課題です。本記事で扱うのは「仕組みの移行」——配車ロジックは今のまま、情報の流れだけを直す話です。
システム化はどう進めればよいか?失敗しない4ステップ
要点は「全部を一度に置き換えない」ことです。配車は1日も止められない業務なので、次の4ステップで段階的に進めることをおすすめします。
- 現状を棚卸しする…今の配車表と、そこから発生している転記先(ホワイトボード・LINE・日報・請求書など)をすべて書き出す
- 直す範囲を「共有」と「転記」に絞る…自動配車や請求システムとの連携は、最初の段階ではあえてやらない
- 小さく作って、今のエクセルと並走させる…1〜2か月ほど両方を使い、現場が「こちらのほうが楽だ」と実感してから切り替える
- 使いながら育てる…傭車への連絡、荷待ち時間の記録など、必要になった機能を後から足していく
最初から100点のシステムを狙うより、今の型を写した80点から始めて育てるほうが現場は確実に移行できますし、並走期間があれば万一合わなくてもエクセルに戻れます。
配車表の限界を感じ始めたら、まず現状の棚卸しから
エクセル配車表の限界は、配車ロジックではなく「共有」と「転記」から来る——この見立てに心当たりがあれば、高価なシステムの比較検討より先に、自社の情報の流れを書き出してみてください。直すべき範囲は、思っているより小さいはずです。
株式会社B.I.Yは、建設・物流の中小企業に特化したAI活用パートナーです。AI駆動開発では、今お使いの配車表の型を活かした自社専用の配車ボードを、構築費用30万円〜+月額5万円〜(税別)で開発し、定着まで伴走します。「うちの配車表でもシステム化できるのか」という段階のご相談で構いません。お電話(050-3152-1971)またはお問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。
よくある質問
配車表のエクセル管理は、何台くらいまで持ちますか?
台数だけでは決まりません。判断の軸は「共有」と「転記」で、最新版が分からない・変更のたびに複数箇所へ書き写す・実績を毎月打ち直すといった症状が常態化していれば見直しのタイミングです。逆に転記がほとんど無いなら、エクセルのままでも問題ありません。
自動配車システムの費用はどのくらいかかりますか?
一般的に月額数万〜数十万円程度といわれますが、機能や台数によって幅があります。10〜30台規模で「共有と転記」だけが課題なら、自動配車機能を持たない軽量な自社専用システムという選択肢もあり、B.I.YのAI駆動開発では構築費用30万円〜+月額5万円〜(税別)で対応しています。
ベテラン配車係の勘やノウハウも、システムに入れる必要がありますか?
必ずしも必要ありません。配車を組む判断はベテランの頭の中のままで、共有と転記だけを仕組みに置き換える方法が現実的です。ノウハウを次の担当者へ引き継ぐことは「人の引き継ぎ」という別の課題として、分けて考えることをおすすめします。
パソコンが苦手なドライバーでも使えますか?
設計しだいで対応できます。自社専用に作る場合、ドライバー側は「スマホで自分の行き先を見るだけ」といった最小限の操作に絞れます。パッケージ製品に操作を合わせるのではなく、現場の人に合わせて画面を作れることが、自社専用開発の利点です。
物流2026年問題への対応は、中小の運送会社にも義務がありますか?
改正物流効率化法により、2025年4月から荷待ち・荷役時間の短縮などの努力義務が広く課され、2026年4月からは一定規模以上の事業者へ計画作成などの義務が始まるとされています。中小が直接の対象になるかは規模等によりますが、荷主からデータ提出などの協力を求められる場面は増えると考えられます。最新の制度内容は国土交通省などの公式情報でご確認ください。
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