分納の入荷管理を整えるには、発注した内容を残す表と、届くたびに追加する入荷記録を分けることが出発点です。一部が届いたときに発注数量を残数へ書き換えると、最初に何個頼み、いつ何個受け入れたのかが追えません。さらに「まだ届いていない物」と「届いたが確認中の物」を分ければ、次に確認する相手も整理できます。この記事では、Excelから始められる表の作り方と、システムを検討する際の確認点を説明します。
一部入荷のたびに、元の発注行を書き換えていませんか?
まず残しておきたいのは、発注番号、商品、数量、予定日です。商品名だけでは、同じ商品を別の日に追加発注したときに区別できません。発注番号に明細番号を組み合わせ、どの注文の何行目かを決めると、入荷記録を結び付けやすくなります。
例えば一つの発注書に商品Aと商品Bがあるなら、「P-100の1行目」「P-100の2行目」のように分けます。同じ商品の注文をまとめて受け取る場合も、どの発注明細へ何個を割り当てたかを残します。納品書の合計数量が合っているだけでは、別の注文を完了扱いにしてしまうことがあるためです。
入力する数量の単位もそろえます。「10箱」と「100個」をそのまま足さず、一箱の入り数と管理に使う単位を決めてください。単位の確認をせずに計算式だけ直しても、残数のずれは解消できません。
発注表と入荷記録に、何を持たせればよいですか?
最初から項目を増やしすぎず、発注の約束と、実際に起きたことを分けて記録します。以下は管理表を考えるための項目例です。自社の帳票にある番号や呼び名を使って構いません。
| 表 | 残す項目 | 記録の単位 |
|---|---|---|
| 発注表 | 発注番号・明細番号、仕入先、商品、発注数量、単位、当初の予定日 | 発注した商品明細ごとに1行 |
| 入荷記録 | 入荷記録番号、発注明細番号、到着日、数量、受入区分、確認者 | 荷物が届くたびに追加 |
| 変更記録 | 発注明細番号、変更日、取消数量、残りの予定日、連絡内容、確認者 | 取消や予定変更の都度追加 |
受入区分は、例えば「確定」「確認中」に分けます。破損や数量違いが見つかった物を、使える在庫と同じ扱いにしないためです。納品書の写真や保存先も入荷記録から分かるようにすると、数字を確認するときに元の書類へ戻れます。
Excelで集計するなら、発注明細番号と受入区分が一致する数量を合計する方法があります。Microsoft公式のSUMIFS関数の説明では、複数の条件に合う数値を合計できます。関数を入れた後は、明細を追加したときも集計範囲に含まれるかを確認しましょう。
「発注残」と「未到着」を、同じ数字にしない
発注残という言葉を、社内で何の意味で使っているかをそろえることが大切です。この記事の表では、発注残を「受入がまだ完了していない数量」として扱います。その中を、未到着と受入保留に分けます。使っている販売管理ソフトの定義が違う場合は、その区分に合わせて表の名前を調整してください。
次は説明用の仮定例です。100個を発注し、10個の取消が確認できたとします。65個が到着し、そのうち60個を受入確定、5個を破損確認中とした場合を考えます。B.I.Yの顧客実績や導入効果を示す数字ではありません。
| 確認する数字 | この例の計算 | 数量 |
|---|---|---|
| 受入が必要な合計 | 発注100 − 確認済みの取消10 | 90個 |
| 未到着 | 受入が必要な90 − 到着65 | 25個 |
| 受入保留 | 到着したうち、破損を確認中 | 5個 |
| 発注残(受入未完了) | 必要な90 − 受入確定60 | 30個 |
「残り30個です」だけでは、仕入先へ30個すべての納期を聞くのか、25個の納期と5個の対応を別々に聞くのかが分かりません。未到着と保留を分けた表示にして、確認する内容をはっきりさせます。数量を0未満に丸めて隠すのも避け、過入荷や二重入力の可能性として確認してください。
取消・破損・予定日の変更を残すルール
取消は、担当者が「もう要らないと思った」段階と、仕入先への連絡・確認が済んだ段階を区別します。確認前の数量まで発注残から差し引くと、後から届いた荷物が余剰に見えてしまいます。誰が、いつ、何個の取消を確認したかを残してください。
破損した物も、受入保留の行を単に削除しないようにします。受け入れる、返送する、代わりの品を待つ、といった決定と日付を追加し、補充分が必要なら元の発注明細や対応記録に結び付けます。上の仮定例の計算は最初の到着時点のもので、返送や再入荷がある場合はその履歴も含めた集計にします。
- 残りの納期は「未回答」と「確認済みの日付」を分ける
- 分納予定が複数ある場合は、予定日ごとの数量を残す
- 最終入荷の判断は、受入確定・取消・保留の扱いを確認してから行う
- 伝票を入力し直したときに同じ入荷を二重登録していないか確認する
翌朝に見る一覧は、全件の細かい履歴より「未到着がある」「予定日を過ぎた」「保留の確認待ち」の三つを先に出すと整理しやすくなります。それぞれに確認担当と次に連絡する日を持たせ、一覧を見ただけで次の作業へ進める状態を目指します。
Excelで続けるか、既製ソフト・開発を検討するか
入荷を記録する場所が一つで、担当者が更新と確認を回せるなら、Excelの整理から始められます。まずは分納が起きる一つの仕入先や商品群で試し、入力しにくい項目や確認漏れが残る場所を調べると、必要な機能が見えてきます。
拠点ごとに別の表がある、複数人が同時に入荷を受ける、発注と在庫に同じ数字を打ち直している場合は、既製の購買・在庫管理ソフトも比較対象です。試す際は「分納できますか」だけでなく、取消、破損保留、予定日の分割まで自社の例を一通り通してみてください。
B.I.Yでは、卸業向けに在庫管理・仕入れ取り込み・納品書作成を一つにしたシステムを開発してきました。開発実績の概要を掲載していますが、その実績にこの記事の分納ルールがすべて含まれているという意味ではありません。御社の帳票や作業を確認して必要な範囲を考えます。
相談する場合は、困っている発注明細を一つ選び、発注書・入荷の記録・現在の残数を並べるところから始めてください。個別の仕組みが必要かは、業務システム開発の内容も参考に、今の表を活かす方法と比べて判断できます。
よくある質問
発注表だけに入荷数量を足していく方法ではだめですか?
少ない件数なら管理できますが、入荷日ごとの数量や確認者が追えることが必要です。分納や保留がある場合は、元の発注内容を残し、入荷ごとの記録を別に追加する方法が向いています。
破損した品も、届いた数に含めますか?
物が到着した記録と、使用できる状態で受け入れた記録を分けます。破損確認中の品は保留として残し、返送や補充分の到着が決まったら、その経緯をつなげて管理してください。
分納管理にもAIが必要ですか?
必須ではありません。まず発注明細と入荷記録の結び付け方を整え、計算と確認で管理できる部分を固めます。書類の読み取りなどにAIを使う場合も、数量や対象明細を確認する手順が必要です。
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